季節の薬学<夏ばてとしじみ>

昔から夏の土用頃から初秋にかけては、夏の疲れがどっと出てくる時期である。その夏ばて対策として江戸時代頃から精のつく物を進んで食べる習慣があった。特に土用の丑の日にはうなぎや土用しじみや土用もちなど食べて元気をつけるようにしていた。特に土用のうなぎは有名で現在なお土用の丑の日には盛んに食べられている。この風習は陰陽五行説を根拠としたもので、四季に五行を当てはめ五季とする時、五行の中で最も強い土の支配する時期を各季節の終わりの18日間をとしたことによる。十二支では丑、辰、未、戌が土に配当されるが、十二支の中で最初に廻ってくるのが丑であることから、最も土気が強い日として丑の日が取り上げられた。五行を身体に当てはめると脾胃つまり消化器系統と四肢に当たり、自然界の土気の強い時は、特に影響の受けやすい部位とされるのである。その時、脾胃を補う食物として牛、米、棗、葵がある。葵は冬葵のことで、おかのりともいい、昔は五菜の長としてよく食べられた。現在では島根県雲南市加茂町で栽培している。このうち最も精をつけるものが牛肉とされるが、日本では仏教の影響により、四足ものは食べる習慣が無かったので、代わりに丑にちなんで、「う」のつく食材、うなぎ、瓜、梅干や、他に精のつくといわれるしじみや餅を食べるようになったのである。しかしこれらの食材が全く荒唐無稽ではなく、うなぎやしじみ、餅などは強壮作用が強いし、瓜は暑気当たりに、梅干は食中毒や下痢の特効薬である。この中で漢方薬膳の立場から特にお奨めしたいのがしじみである。他の貝類に比べても、カルシュウム、鉄、ビタミンB類、必須アミノ酸やタウリンが突出して多く含まれるので、二日酔い、黄疸、肝臓虚弱、乳汁不足、浮腫、眼精疲労、咽喉の乾きなどに効果がある。