現在では12月25日をキリスト生誕の日として、世界的にクリスマス(聖誕祭)のお祝いをしますが、実はキリストの誕生の日については、聖書に記載がなく、事実は不明のままです。それが12月25日に決められたのは4世紀になってのことで、今では325年ニケア公会議で決定されたと考えられています。
ではなぜこのような決定がなされたかといえば、古代のヨーロッパでは12月25日を冬至と定める地域が多く、この日の前後に各地で宗教や神話に基づく、太陽の復活を祈る冬至祭が行なわれていたからです。
その代表的な祭が古代ローマ帝国で隆盛を誇っていたミトラス教で、冬至のこの日主神ミトラスが「義の太陽」として復活するための祭が盛大に行なわれていたのです。また農業の神サトゥルヌスをまつる祭もこの時期に行なわれ、プレゼントの交換なども行なわれていました。
また北欧では、北欧神話に基づく冬至祭ユールの祭が紀元前から行なわれていました。今でも北欧ではクリスマスをユールといっています。
日本では、医家や薬屋はこの日に一陽来復を祈り、薬の神である薬祖神(やくそじん)を祀り、医者はこの頃から年末にかけて患者に屠蘇(とそ)散を配りはじめます。日ごろ丈夫で医者に罹っていない者は、薬屋に買いに行くことになり、「屠蘇をくださいと丈夫な男くる」といった川柳も生まれました。
その他一般庶民は赤小豆粥を食べ邪気を祓い、生命力強化を図るべく、「とうじ」の「と」の字のつく、唐茄子(かぼちゃ)、唐辛子、豆腐、ふきのとうなどを食べ、冬至と湯治の語呂を合わせて、柚子湯に入り無病息災を祈りました。
この日ユズ湯に入れば1年間風邪をひかないとされましたが、ユズ湯は薬学の立場から見れば、なかなか合理的な健康法で、チトラールという精油が体を温め、肌を滑らかにする作用があり、湯冷めを予防して風邪にかかりにくくするのです。また精油は芳香療法として鼻づまりを治し、精神をリフレッシュする効果もあります。 |