5月は気温も熱くもなく寒くもなく、気温変化によるストレスが減るので、1年中でもっとも安定した過ごしやすい季節。季節病カレンダーにおいても5月はもっとも病気の少ない月だ。ただ5月病という名前があるように新入生や新社会人の中には、環境的変化により、「うつ病」などになる人もいるが、流感も心臓病も、脳卒中、肺炎などの各疾患も5月になると、みな姿を潜める。またこの時節は若葉が盛んに萌えたち、いわゆる風も緑の薫りを含むようになるが、この緑の薫りが実は健康にとてもよいのである。この緑の薫りにはテルペン類を中心に多くの芳香性物質が含まれており、これらはみな殺菌、防腐、鎮静作用があるからである。ユーカリなどは1本の木に害虫がつくと、強い防虫効果のある薫りを発散して、身を守ると同時に、仲間のユーカリにも害虫の危険を知らせるのである。生活に身近かなものでは、紫蘇の葉や熊笹の葉、ニンニク、生姜、梅なども強い殺菌作用をもっている。それゆえ刺身は紫蘇の葉の上に盛り、生姜が添えられ、お弁当には梅干が入れられ、鮨は笹の葉で巻かれて笹鮨となったのである。昔の人の経験から学んだ知恵である。また森林中には先に述べた、芳香物質だけでなく、副交感神経にやさしいマイナスイオンが多く、視覚的にも皮膚感覚のうえでも森の緑や風は人の心を和ませる作用があるので、この季節には大いに森林浴をお勧めする。何も山や高原まで行かなくとも、明治神宮や、駒沢公園、自然教育園など身近な緑の多い公園を散歩するだけでも効果はあるので、日常のちょっとした時間を見つけて実行するとよい。その時間も取れない人はせめて、紫蘇、春菊、セロリなど葉緑素を多く含む香草類を食べ、食後はハーブティーや新茶などを飲み、入浴時には、桧や菖蒲湯またはハーブ系の入浴剤を入れて芳香浴を楽しみ、心身のリラックスをはかることをお勧めする。
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